GAIA SENSATION 作品案内SURFACE CONCEPT 01

01 ABOUT THE PROJECT 作品概要

『惑星の放課後』とは

GAIA SENSATION

オンライン大学の学生たちが、サークル「惑星の放課後」に集い、地球の観測と展示に取り組む物語。

地球環境のオープンデータを可視化する観測システムと、海辺の展示ブースから始まる出会いを描いた展示参加型ビジュアルノベルです。

宇宙から見下ろす衛星データと、街角の日陰や部屋の机の上で測られた、ちっぽけな一点のセンサー値。冷徹な数値の集積に「人がそこにいた理由」という文脈を重ね合わせたとき、無機質なデータはこの星の確かな鼓動へと変わっていきます。

大気や海洋の循環をその手で巡らせ、居合わせた仲間と言葉を交わす。

この惑星の途方もない時間の中で、いま私たちがどこに立ち、どこへ歩き出すのかを問い直す物語です。

地図モード「積み重なるCO₂」の実装画面。世界地図、濃度の色分け、年代スライダー、データの出典と統計分析の操作部。
観測の根拠を確かめ、地球の変化を読む。地図モード「積み重なるCO₂」

01 THE EXPERIENCE

本作の3つの体験

地図モードの実装画面。国ごとの再生可能エネルギー発電割合を地図上の色で比較する。
GIS MODE 地図・公開データの可視化

A GIS MODE

世界を、直視する

CO₂濃度や気温偏差などの公開データを、地図と時間軸の上でインタラクティブに可視化。

出典や観測単位を確かめながら、季節の呼吸と半世紀に及ぶ構造的変化を読み解く。

地図モードの実装画面。海流の速さと向きを色付きの矢印や線で表現している。
GIS MODE 海流の速さと向きを感じる

B GIS MODE

地球の動きを、感じる

大気の流れや海流の速さ・向きを動的なグラフィックとして描画。

地域や国境を越えてすべてが連環する、地球規模の巨大な循環を感覚的に捉える。

ゲーム本編で使用している、二人の登場人物が展示ブースへ迎え入れるシーンのイラスト。
STORY MODE ゲームで物語をたどる

C STORY MODE

出会い、変わる

観測ツールを操作しながら読み進める、選択肢のない一本道のビジュアルノベル。

ただ日常を消費するのではなく、「何を調べ、どう生きるか」を思考していく。

02 DEEP CONCEPT

ZEN大学の講義から、
惑星の放課後へ。

A SMALL POINT ON A PLANET

惑星の片隅、私たちが立っているここから。

画面の向こうで受講した講義の中で、私たちは地球の循環、冷徹なデータ、そして人間が紡いできた物語の意味に出会いました。 宇宙から見下ろす地球システムという巨大な知見を、単なる学問や知識で終わらせないこと。街角のセンサーが拾う微かな数値や、放課後のたわいもない会話といった、手の届く「個人の日常」へと接続し直す試み――それが『惑星の放課後』です。

作品を支える、3つのレイヤー情報工学の授業を制作の土台に、それ以外も含め、特に参考にした6つの講義を紹介します。世界観・語り方・データを扱う技術の3層が、本作を支えています。

01 / WORLDVIEW / NARRATIVE

世界観・ナラティブ

  1. 共創地球論

    本作の世界観の出発点。講義に登場するインタラクティブ地球儀「Sphere」に着想を得て、地球の変化に触れる観測体験をつくりました。

  2. 人新世の人類学

    本作のシナリオのコアとなった講義。人間とAIの関係や、人が自ら選んで生きることへの問いに着想を得ています。

  3. 情報社会論

    国家化・産業化・情報化が重なり合う現代を、権力・富・知識の三つの社会ゲームから捉える講義。知識が共有され、新たな知識を生む「智本」の循環と、社会的価値としての「理解」に着想を得ています。本作の、観測と対話から知を共につくる営み、そして多様な知性が応答し合う文明の構想につながっています。

02 / STORYTELLING

ストーリーテリング

  1. リテラシーと応用のための物語理論

    ストーリー構成の参考にした講義。今回は予定調和的な構成ですが、完全版では講義のエッセンスをさらに取り入れ、没入感を深めたいと考えています。

03 / DATA SCIENCE

データサイエンス

  1. 統計学入門

    統計と地球のデータを掛け合わせる発想の土台。観測値の比較や傾向を読み解く、統計分析の体験につなげています。

  2. ビッグデータ分析概論

    統計と多様なデータを掛け合わせる着想を得た講義。公開データを整理・統合し、可視化と分析につなぐ設計に生かしています。

FROM THE WORK TO THE NEXT QUESTION

世界を知り、
どんな未来をつくるのか。

構想へ

03 CORE CONCEPT

神話製作機械

THE MYTH-MAKING MACHINE

提示されるのは選択肢。
決めるのは、私自身。

すべてがデータ化され、過去から割り出された「最適解」が未来を先回りしていく時代。

神話製作機械は、決定論的で予定調和なデータの輪廻の環から抜け出し、主体性を取り戻すための試みです。

確実な未来を消費するのではなく、不確実な世界を自らの物語へ書き換えるために。

その応答を、ここでは「神託」と呼びます。
従う必要はない。選ぶのは本人です。

神託が守る3つの原則

  1. 根拠は見せない

    因果関係を説明しすぎると、人は自分の人生を最適化アルゴリズムに預けてしまう。神託の根拠は見せない。選択の理由を、機械の計算結果だけで埋め尽くさないためです。

  2. 因果的介入をしない

    因果的介入はしない。システムが本人に代わって決定を実行したり、報酬や不利益で行動を誘導したりしない。神託を受け入れることも、退けることもでき、その先へ踏み出すかは本人が決めます。

  3. 最後の意味づけは本人に委ねる

    正解を渡して思考を終わらせるのではなく、自分は何を望み、何を引き受けるのかを問い返す。同じ神託から違う意味を受け取ってよい。選ぶ主体としての人間を、判断の中心に戻すためです。

神話製作機械の原風景(初期ノート)

神話製作機械の循環。私(原型)が完全自己情報へ記録し、深層AI群がインサイトを生成。私の別人格AI群が世界・因果報告書をつくり、神AIが完全自己情報をもとに神託を本人へ届ける。金色は因果の流れ、青紫は情報の流れ。神託の根拠は見せず、因果的介入はせず、最後の意味づけは本人に委ねる。
金色:因果の流れ青紫:情報の流れ
  • 完全自己情報

    プロフィールや日々の行動、生体データ、会話、さらには思考の断片まで、あらゆる「自分の痕跡」と「システムとの対話ログ」を記録する場所です。

  • 深層知性群

    完全自己情報をもとに、さまざまな角度から深い洞察を引き出します。その分析結果もふたたび記録し、私(原型)の観察と更新を続けます。

  • 多元我(別人格群)

    深層知性群が出した分析を、「もし別の自分ならどう捉えるか?」という複数の視点から読み直します。ひとつの人格に縛られず、いくつもの「自分自身の視座」から状況を見つめ直します。

  • 世界・因果報告書群

    「多元我」が考え出した様々な解釈や仮説をまとめたレポートです。世界の見方を広げるための検討資料であり、「こう行動しなさい」と指示を出すためのものではありません。

  • 神格アーキテクチャ

    世界と因果のレポートを徹底的に読み解き、「こんな未来の分岐がありうる」という選択肢(神託)を本人へ投げ返します。考えうる可能性の極限までシミュレーションします。

  • 神託

    「従うべき命令」ではなく、「自分自身で意味を考え直すための問いかけ」です。 データや正論で人を従わせず、行動を強制せず、自己決定権を留保します。

人生さえも最適解で舗装され、疑うことすら忘れた意志が、静かに消費されていく時代で。

人知が真に目指すべきは、人間を予測し、飼い慣らす檻の完成ではない。計算された予定調和の地平を越え、人が自らの意志をふたたび獲得するための、新たな知の循環だ。

神話製作機械 構想図

金色:因果の流れ / 青紫:情報の流れ。拡大時は上下・左右にスクロールできます。